2022.01.20更新

潰瘍性大腸炎について

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Q.潰瘍性大腸炎とは?

A.大腸に炎症が起きることによって、大腸の粘膜が傷つき、ただれたり(びらん)、はがれたり(潰瘍)することで、腹痛や頻回の下痢、血便などの症状が生じる大腸の病気です。病気の原因は、遺伝的な要因に腸内細菌や食餌など様々な環境因子が重なり、通常は身体を防御するために機能している免疫に異常をきたすことで、この病気が生じると考えられています。潰瘍性大腸炎は、腹痛や下痢・血便などの症状がある状態を活動期、治療により症状が治まった状態を寛解期と言いますが、この活動期と寛解期を繰り返すことがこの病気の特徴です。したがって、治療により一旦寛解期に入っても、再び大腸に炎症が生じることから再燃を予防するために長期にわたる治療が必要になります。また発症後、長期経過とともに大腸癌の危険性が高まることから長期的な検査をうけることも非常に重要です。
この病気は、1970年代は稀な疾患とされてきましたが、その後増加し続け、現在全国で約22万人の患者さんがいると考えられています。男女比はほぼ同じで、発症のピークは30代とされています。

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Q.原因はわかっていますか?

A.原因は明らかになっていません。これまでに腸内細菌の関与や本来は外敵から身を守る免疫機構が正常に機能しない自己免疫反応の異常、あるいは食生活の変化の関与などが考えられていますが、まだ原因は不明です。

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Q.この病気は遺伝しますか?

A.潰瘍性大腸炎は家族内での発症も認められており、何らかの遺伝的因子が関与していると考えられています。欧米では患者さんの約20%に 炎症性 腸疾患(潰瘍性大腸炎あるいはクローン病)の近親者がいると報告されています。近年、世界中の研究者によりこの病気の原因を含めた 特異的 な遺伝子の探索が続けられていますが、現時点では遺伝に関する明解な回答は得られていません。遺伝的要因と食生活などの環境要因などが複雑に絡み合って発病するものと考えられています。


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Q.この病気ではどのような症状がおきますか?

A.下痢(便が軟らかくなって、回数が増えること)や血便が認められます。痙攣性または持続的な腹痛を伴うこともあります。重症になると、発熱、体重減少、貧血などの全身の症状が起こります。また、腸管以外の合併症として、皮膚の症状、関節や眼の症状が出現することもあります。

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Q.潰瘍性大腸炎の治療について教えてください。

A.潰瘍性大腸炎は、病変の範囲や重症度によっていろいろな薬の種類やその投与方法が選択されます。
内科的治療:現在、潰瘍性大腸炎を完治に導く内科的治療はありませんが、腸の炎症を抑える有効な薬物治療は存在します。治療の目的は大腸粘膜の異常な炎症を抑え、症状をコントロールすることです。
外科的治療:多くの場合、内科治療で症状が改善しますが、外科手術(大腸全摘術)が必要な場合があります。治療について、詳しくは医師にご相談ください。

投稿者: 医療法人社団 俊爽会