2021.04.18更新
アニサキス症
アニサキスとは
激しい腹痛で来院し、胃カメラの検査を行うとアニサキス症だったという患者さんは珍しくありません。アニサキスは、海産動物に寄生する寄生虫です。
アニサキスに寄生された魚類やイカをクジラやイルカが食べることで、アニサキスはクジラやイルカの体内で成虫になります。成虫の体長は10-35mm位です。肉眼でもはっきり見えます。
アニサキス症ってどうしたらかかるの?
サバ、サケ、ニシン、スルメイカ、イワシ、サンマなどを生食することで感染することが多いようです。
その他、ホッケ、メジマグロ、キンメダイ、サワラ、アイナメにも寄生しています。
アニサキスが寄生した上記の魚介類を生又は生に近い状態で食べると、アニサキスがヒトの胃や腸壁に侵入し胃腸炎を起こします。
アニサキスの寄生した生餌を与えていた場合などを除き、養殖魚にはアニサキスの寄生がほとんど認められていないようです。
アニサキス症の症状とは
新鮮な魚介類を食べて3〜4時間後に、激しい腹痛、嘔吐、吐き気の症状が出ます。嘔吐では胃液のみしか出ず、下痢は認められないことが食中毒と異なる点です。これはアニサキスの虫体が胃壁や腸壁に侵入する時に生ずる症状です。半日から、長い時は1週間くらいたって腹痛に見舞われることもあり、この時は腸に虫が侵入していると考えられます。
じんま疹のような発疹やかゆみが現れることがあります。
治療ってどんなことするの??
胃アニサキス症の場合、内視鏡で虫を摘出します。当院でもアニサキスの摘出を行っています。虫を取り出してしまえば痛みは消えます。もっとも、アニサキスは人体中では1週間程度で死んでしまうので、虫を摘出できなくても対症療法だけで治ります。
ただし、虫が腸管から外に出て症状を起こしているなら、駆虫薬(くちゅうやく)(メベンダゾール)を内服します。
当院では内視鏡検査の予約状況にもよりますが、即日内視鏡にてアニサキスの摘出を行う事もあります。
確認できなくても新鮮なイカなどを食べていてこの病気が強く疑われる場合には、薬の投与によって症状は軽快し、予後は良好です。
ペプシノゲン検査
アニサキスはに感染しないためにはどうしたらいいの?
・新鮮な魚介類を生食しないこと。
・60℃1分以上の熱処理
・マイナス20℃で24時間以上の凍結
・魚介類を生食する際には、より新鮮なものを選び早期に内臓を除去し、低温(4℃以下)で保存すること。
・生食用に調理する際には魚をよく見て調理すること。特に、内臓に近い筋肉部分(ハラス)は注意すること。
・アニサキスは、傷を受けると胃や腸壁への侵入性が著しく低下するので、調理する際は細かく刻むこと。
予防効果の期待出来ないもの
・よく噛んで食べる。
・薄く切る。
・薬味(しょうが、わさび、にんにく)
・お酢でしめる。