2022.01.21更新

ピロリ菌について、よくある質問をまとめました。

 

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Q.ピロリ菌とは、どんな菌ですか?

A.ピロリ菌は正式にはヘリコバクター・ピロリという細菌です。ピロリ菌が胃・十二指腸潰瘍やがんなどの原因になっていることがわかっています。

 

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Q.ピロリ菌は、どうして胃の中で生きていられるのですか?

A.胃の中は胃酸が出ているため、通常の菌は死んでしまいます。ピロリ菌は特殊な酵素をもっており、アンモニアを発生して、胃酸から身を守っているため胃の中で生きることができます。

 

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Q.ピロリ菌は、どのような疾患を起こすのですか?

A.ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎は慢性活動性胃炎ともいわれ、胃粘膜に多数の白血球の浸潤を伴う胃炎です。腹部や背中の痛み、不快感、胸やけ、吐き気を起こすことがあります。

ピロリ菌の感染自体は自覚症状のないことが多く、胃痛や胃炎の症状があり検査をして初めて感染に気付く人が多いです。

 

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Q.ピロリ菌を放っておくとどうなりますか?

A.消化性潰瘍・胃MALTリンパ腫・機能性ディスペプシア(FD)・胃ポリープ・特発性血小板減少性紫斑病(ITP)を引き起こし、萎縮性胃炎を経て一部は胃がんを引き起こすことがあります。ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎に除菌での保険適用が拡大されたので胃がんを含む、ほとんどの疾患を抑制できる可能性があります。

 

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Q.ピロリ菌はどのように感染するのですか?

A.どのように感染するか、はっきりとわかっていませんが口から感染するのが大部分であると考えられています。衛生環境と関連していることが報告されていて、感染する機会は減ってきていると考えられています。

 

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Q.ピロリ菌は十二指腸潰瘍と関係があるのですか?

A.ピロリ菌に感染すると胃に炎症を起こすことが確認されています。胃・十二指腸潰瘍の患者さんでピロリ菌を検査すると、約90%の患者さんがピロリ菌に感染していて、ピロリ菌が原因になっていることがわかっています。

ピロリ菌がいる場合には潰瘍の治療をしても再発する可能性が高くあります。
ピロリ菌を除菌することで胃・十二指腸潰瘍の再発率は著しく低下することが認められています。

 

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Q.ピロリ菌は胃・十二指腸潰瘍の他にどのような悪さをするのですか?

A.代表的なものとしては胃がんとの関連性が指摘されています。感染している人と感染していない人では、ピロリ菌に感染している人の方が、胃がんの発生するリスクが高いと言われています。
胃がん・萎縮性胃炎などに加え、消化器以外の疾患でも血小板減少性紫斑病・貧血・蕁麻疹などとの関連が示唆されています。

 

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Q.ピロリ菌は胃MALTリンパ腫と関連があるのですか?

A.胃MALTリンパ腫は胃に発生する悪性度の低いリンパ腫という病気です。胃MALTリンパ腫の患者さんの多くはピロリ菌に感染しており、感染による慢性胃炎が原因であることがわかっています。国際的なガイドラインにおいても、ピロリ菌の除菌が第一選択の治療法で、ピロリ菌の除菌により60~80%が改善します。改善した場合の長期予後は良好です。

 

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Q.ピロリ菌の検査はどのようにするのですか?

A.胃内視鏡検査時にピロリ菌感染の有無を確認できます。詳しくは医師にご相談ください。

 

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Q.除菌治療をすると、どのようなメリットがありますか?

A.ピロリ菌は発がんリスク因子の一つのため、除菌を行うことにより3年間のフォローで胃がんの発生が約1/3に抑制され、再発を予防する効果があります。

 

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Q.ピロリ菌の除菌治療はどのようにするのですか?

A.お薬を1週間しっかりと飲むことで約70~80%の患者さんはピロリ菌を除菌できます。
1回目の除菌治療で除菌が出来なかった場合には、お薬を変えて再度除菌治療を行うことが可能です。2回目の除菌治療では約90%の患者さんで除菌ができます。
除菌が成功したかどうかは除菌治療終了後4週間以上あけて検査をすることでわかります。

 

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Q.除菌治療による副作用は、どのようなものがありますか?

A.いずれも除菌治療時の一時的なものであると考えられていますが、下痢・軟便・味覚異常・肝機能の検査値が上がることがあります。

 

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Q.除菌治療後に生じる問題はありますか?

A.ピロリ菌の除菌が成功した患者さんのうち少数の方に逆流性食道炎が起こることが報告されています。これはピロリ菌の除菌によって低下していた胃酸の分泌が正常に戻ることによって起こることが考えられますが、一時的・軽微な場合が多く治療が必要となるケースは稀です。詳しくは医師にご相談ください。

 

投稿者: 医療法人社団 俊爽会

2022.01.20更新

潰瘍性大腸炎について

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Q.潰瘍性大腸炎とは?

A.大腸に炎症が起きることによって、大腸の粘膜が傷つき、ただれたり(びらん)、はがれたり(潰瘍)することで、腹痛や頻回の下痢、血便などの症状が生じる大腸の病気です。病気の原因は、遺伝的な要因に腸内細菌や食餌など様々な環境因子が重なり、通常は身体を防御するために機能している免疫に異常をきたすことで、この病気が生じると考えられています。潰瘍性大腸炎は、腹痛や下痢・血便などの症状がある状態を活動期、治療により症状が治まった状態を寛解期と言いますが、この活動期と寛解期を繰り返すことがこの病気の特徴です。したがって、治療により一旦寛解期に入っても、再び大腸に炎症が生じることから再燃を予防するために長期にわたる治療が必要になります。また発症後、長期経過とともに大腸癌の危険性が高まることから長期的な検査をうけることも非常に重要です。
この病気は、1970年代は稀な疾患とされてきましたが、その後増加し続け、現在全国で約22万人の患者さんがいると考えられています。男女比はほぼ同じで、発症のピークは30代とされています。

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Q.原因はわかっていますか?

A.原因は明らかになっていません。これまでに腸内細菌の関与や本来は外敵から身を守る免疫機構が正常に機能しない自己免疫反応の異常、あるいは食生活の変化の関与などが考えられていますが、まだ原因は不明です。

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Q.この病気は遺伝しますか?

A.潰瘍性大腸炎は家族内での発症も認められており、何らかの遺伝的因子が関与していると考えられています。欧米では患者さんの約20%に 炎症性 腸疾患(潰瘍性大腸炎あるいはクローン病)の近親者がいると報告されています。近年、世界中の研究者によりこの病気の原因を含めた 特異的 な遺伝子の探索が続けられていますが、現時点では遺伝に関する明解な回答は得られていません。遺伝的要因と食生活などの環境要因などが複雑に絡み合って発病するものと考えられています。


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Q.この病気ではどのような症状がおきますか?

A.下痢(便が軟らかくなって、回数が増えること)や血便が認められます。痙攣性または持続的な腹痛を伴うこともあります。重症になると、発熱、体重減少、貧血などの全身の症状が起こります。また、腸管以外の合併症として、皮膚の症状、関節や眼の症状が出現することもあります。

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Q.潰瘍性大腸炎の治療について教えてください。

A.潰瘍性大腸炎は、病変の範囲や重症度によっていろいろな薬の種類やその投与方法が選択されます。
内科的治療:現在、潰瘍性大腸炎を完治に導く内科的治療はありませんが、腸の炎症を抑える有効な薬物治療は存在します。治療の目的は大腸粘膜の異常な炎症を抑え、症状をコントロールすることです。
外科的治療:多くの場合、内科治療で症状が改善しますが、外科手術(大腸全摘術)が必要な場合があります。治療について、詳しくは医師にご相談ください。

投稿者: 医療法人社団 俊爽会