2021.04.20更新

胃がん

胃がんとは

胃がんは、胃の壁の最も内側にある粘膜内の細胞が、何らかの原因でがん細胞になって増殖を繰り返すことで生じる悪性腫瘍のことを言います

胃がん検診などで見つけられる大きさになるまでには、何年もかかるといわれています。大きくなるにしたがってがん細胞は胃の壁の中に入り込み、外側にあるしょうまくやさらにその外側まで侵食し、大腸や膵臓(すいぞう)にも広がっていきます。

胃がんは男性に多くみられる癌で、年代で見てみると50代~60代の人に集中しています。健康診断や人間ドックの普及により早期で胃がんを発見できるようになってきました。そのため胃がんで亡くなる方は、減少傾向にあります。治癒率も早期発見であれば95%と言われています。

定期的な検査を受けて早期発見に努めましょう。

胃がんの分類はどのように分かれているの?

がん細胞を顕微鏡で観察した外見の分類では、胃がんのほとんどを腺がんが占めています。細胞の分化度は、大きく分類すると分化型と未分化型に分けられ、一般的に、分化型は進行が緩やかで、未分化型はがん細胞の増殖が速いため進行が速い傾向があると言われています。

未分化型は、特殊なタイプの胃がんであるスキルス胃がんだと誤解されることがありますが、未分化型であっても深達度(しんたつど)の浅い早期がんもあり、分化型でスキルス胃がんになることもあります。

がんの深さが粘膜下層までのものを「早期胃がん」、深さが粘膜下層を越えて固有筋層より深くに及ぶものを「進行胃がん」と言います。

胃がんの原因は何でしょうか?

胃がんの発生については多くの研究が行われており、喫煙や食生活などの生活習慣や、ヘリコバクターピロリ菌の持続感染などが胃がん発生のリスクを高めると言われています。食生活については、塩分の多い食品やインスタント食品の食べすぎ、お酒の飲みすぎ、野菜、果物の摂取不足が指摘されています。

日本人のヘリコバクターピロリ菌の感染率は、中高年で高く、若年層では近年低下傾向にあります。ヘリコバクターピロリ菌に感染した人のすべてが胃がんになるわけではありませんが、現在、除菌療法が胃がんにかかるリスクを低くすると言われています。感染していることがわかれば除菌療法が推奨され、定期的な胃の検診を受けることが勧められます。

当院では、胃カメラ検査にてピロリ菌検査が受けられ、除菌治療も行っております。

ピロリ検査について詳しく見る

胃がんの症状

胃がんの発生初期に、自覚症状を訴えることはほとんどありません。胃がんが大きくなり、胃液の分泌や胃の運動を障害するようになると、上腹部の痛み、吐き気、げっぷの頻発、漠然とした不快感といった症状が出たり消えたりするようになる事があります。

がんが食道につながる胃の入り口(噴門部)で大きくなった場合は、食物が噴門近くで停滞し、つかえ感、胸焼けなどの症状が出現します。

また、胃がんが十二指腸につながる胃の出口(幽門部)で大きくなった場合には、胃内容物の十二指腸への移送が障害されるため、胃内容物が停滞し、胃もたれ感や腹部膨満感、さらに吐き気・嘔吐などの幽門狭窄症状が出現します。

このような症状があっても、受診せずに我慢していると、胃がんによる症状は次第に強くなってきます。その結果、食事をすること自体が苦痛となり食欲不振に陥ります。そして、食事摂取量が低下して体重が減少して、やせが顕著になります。

さらに、がんの浸潤によって胃壁の組織が崩れ、持続的に出血するようになると、貧血、脱水などが起こり、めまいやふらつきが生じます。また、胃壁に穴が開き、酸性度の高い胃液を含んだ胃内容物街の外へ流出すると、腹膜炎など腹部臓器の炎症を引き起こします。

基本的に症状が出てからの胃癌は進行している場合が多く、やはり症状が出る前からの定期的な検査が大事でしょう。

ペプシノゲン検査

他の市区町村でABC検査を受診された方も、当院で苦痛の少ない内視鏡検査(精密検査・2次検査)も受けていただけます。

 

胃がんの検査

胃がんが疑われると、まず血液検査や胃X線検査、内視鏡検査などを行い、病変の有無や場所を調べます。内視鏡検査では胃の内部を観察し、がんが疑われる病変があると生検にて詳しく病理診断します。胃がんの進み具合や転移を調べる検査としては、超音波検査(エコー検査)、CT検査などがあります。

 

血液検査では、血液に含まれているペプシノゲンという物質の量を測ることによって、胃がんの前段階ともいえる慢性萎縮性胃炎を診断する事ができます。 この胃炎の人がすべて「がん」になる訳ではありませんが、この胃炎粘膜を背景としてかなり高い確率で胃がんが発生することがわかっています。他には、CEAやCA19-9と呼ばれる腫瘍マーカーなどを検査します。多くの腫瘍マーカーには、正常な状態や良性の腫瘍の場合にも数値が上昇すること、がんがあっても必ず数値が上昇するとは限らないです。また、貧血を調べるために血液検査することがあります。

内視鏡検査では胃の内部を直接見て、がんが疑われる病変の場所や、その病変の広がりと深さを調べる検査です。病変があればその組織のごく一部を採取する生検(組織検査)を行い、顕微鏡でその組織を詳しく病理診断します。

胃の調子が悪く、胃がんが心配な方はご相談下さい。

胃がんの治療

胃がんの治療は、手術(外科治療)、内視鏡治療、薬物療法(抗がん剤治療)の3つが中心になり、治療法は深達度や病期に基づいて決まります。

手術による切除は、進行度によって患部を直接的に切除する治療と腹腔鏡手術に分かれます。


放射線治療は、手術で切除ができない進行したがんや、再発・転移したがんに放射線をあて、がん細胞を縮小・破壊する治療です。
抗がん剤治療は、手術で取りやすいようにがんの大きさを小さくしたり、手術が終わった後に再発を予防するために行われる治療です。
免疫治療は、サイトカイン(免疫細胞を作る物質)やワクチンなどにより本人の免疫力を高め、がんを破壊させる比較的新しい治療です。