2021.04.01更新
逆流性食道炎
逆流性食道炎とは、どんな病気?
胃酸(胃液)の逆流が原因で起こる病気です。
胃液とは、酸性度の強い塩酸(胃酸とも呼ばれています)と消化酵素が含まれ、食物の中に含まれるタンパク質を分解し小腸で吸収しやすい状態にする働きがあります。
胃には酸から粘膜を守る防御機能が働いていますが食道にはこの機能がないため、何らかの原因で胃酸が食道に逆流すると、食道粘膜は胃酸にさらされて炎症を起こします。
また、胃酸によって活性化されたタンパク質分解酵素が食道を傷つけます。
胃から食道への逆流が繰り返し起こると、食道の粘膜にただれや潰瘍が生じ、胸やけや胸の痛み,喉のつっかえ感などの不快な症状が起こります。
逆流性食道炎になる原因は?
逆流性食道炎の原因となる胃液や胃の内容物の逆流は、食事の内容、肥満、加齢、姿勢などによって下部食道括約筋等の食道を逆流から守る仕組みが弱まったり、胃酸が増えすぎることで起こります。
① 脂肪分の摂り過ぎや食べ過ぎによって、何も食べていない時に下部食道括約筋がゆるみ、胃液が食道に逆流してしまうことがあります。脂肪の多い食事をとった時に十二指腸から分泌されるコレシストキニンというホルモンの働きや、たくさんの食事で胃が引き伸ばされることで、下部食道括約筋がゆるむと考えられています。脂肪の多い食事は、胃酸を増やすことによっても胃液の逆流を起こしやすくします。
②タンパク質の多い食事は消化に時間がかかり、胃に長くとどまるため、胃液の逆流が起こりやすくなります。
③年をとると、下部食道括約筋の働きが悪くなります。また、食道のぜん動運動、唾液の量なども少なくなるため、逆流した胃液を胃に戻すことができなくなります。また、背中が曲がると、おなかが圧迫され、胃の中の圧力が高くなるため、胃液の逆流が起こりやすくなります。
④肥満の人は、逆流性食道炎の原因のひとつである食道裂孔ヘルニアになりやすいことが分かっています。また、腹圧が上がることで、逆流しやすくなるとも言われています。
逆流性食道炎の検査
逆流性食道炎の診断は、問診、内視鏡検査などにより行われます。
内視鏡検査とは、上部消化管内視鏡(いわゆる胃カメラ)を口か鼻から入れ、モニターで食道の粘膜の状態を確認する検査です。びらんや潰瘍がみられるか、重症度はどれくらいかが分かります。重症度の判定には、粘膜の色調変化およびびらん・潰瘍の大きさや広がりによって判定されます。
逆流性食道炎は、治療が必要なのでしょうか?
非常に効果的な薬があり、ほとんどの方は、服用することで症状をなくすことができます。ただ、症状がなくなったからと自分の判断で治療をやめてしまうと、再発を繰り返すことは少なくありません。不快な症状から解放され、再発しないようにするために、医師の指示を守って治療していきましょう。
また、逆流性食道炎を治療することは、食道の粘膜が胃の粘膜に変性するバレット食道、食道がんなどの合併症の予防につながると考えられています。たとえはっきりとした症状を感じていなくても、逆流性食道炎の炎症の治療に取り組むことは大切なことです。
また、胸やけは、逆流性食道炎以外の病気でも起こることがあります。きちんと検査を受けて、他の病気がないか確認するようにしましょう。
ペプシノゲン検査
逆流性食道炎を改善するには、何に気を付けたら良いのでしょうか?
①胃液の逆流を起こしやすい食べ物を減らしましょう
脂肪分やタンパク質の多い食事は摂り過ぎないようにする。
チョコレートやケーキなどの甘いもの、唐辛子やコショウなどの香辛料、みかんやレモンなどの酸味の強い果物、消化の悪い食べ物などは摂る量を減らしましょう。
②一度に食べ過ぎないようにしましょう
一度にとる食事の量を減らし、腹八分目を心がけましょう。食後3時間くらいは、胃の内容物の逆流が起こりやすいと言われています。食後すぐに横になったり、寝る前に食事を摂ることは避けましょう。
③アルコール、コーヒー、緑茶を減らしましょう
アルコールは、胃酸の分泌を増やすと同時に、食道下部括約筋をゆるめることが分かっています。アルコールはできるだけ控えましょう。
コーヒーや緑茶などに含まれるカフェインも、胃酸の分泌を増やします。
④肥満を解消しましょう
食生活の改善とともに適度な運動を行い、肥満を解消しましょう。
⑤姿勢に注意し、おなかを締めつけないようにしましょう
姿勢と逆流性食道炎は深く関係しています。日中は前かがみの姿勢を避けましょう。寝る時は、少し上半身を高くして寝ると、逆流が起こりにくくなります。ベルト、コルセット、ガードル、着物の帯など、おなかを締めつけるものは、身につけないようにしましょう。
⑥禁煙しましょう
タバコは逆流性食道炎を悪くします。禁煙に取り組みましょう。