2021.05.26更新

潰瘍性大腸炎

潰瘍性大腸炎ってどんな病気でしょうか

大腸粘膜で何らかの原因により広く浅く炎症が生じ、びらん(ただれ)や潰瘍ができる病気です。症状は下痢や粘血便(血液・粘液・膿の混じった軟便)、発熱、体重の減少などがあらわれます。20〜30代の成人に多く発症しますが、50〜60代の人にもみられます。
病状は、症状がおさまったり、悪化したりを繰り返すことが多く、長期にわたってこの病気とつきあっていくこともあります。
最近、日本でも急速に患者数が増えている疾患の一つに挙げられます。


潰瘍性大腸炎 <原因>

なぜ病気が起こるのか・・・

人間の身体には、異物が侵入した際にそれを排除しようとするしくみ(免疫機能)が備わっています。腸管にもこの免疫機能がはたらいていますが、この免疫機能に異常が生じると自分自身の粘膜も異物とみなし、攻撃して傷つけようとします。それにより、粘膜に炎症が起こります。
この免疫説も有力な説ですが、潰瘍性大腸炎の発症のメカニズムは、明確には分かっていません。
遺伝的素因や食生活、腸内細菌叢の変化などが複雑に絡み合っていると考えられます。肉体的、精神的ストレスで悪化することがありますが、原因というよりも誘因と考えられています。

潰瘍性大腸炎 <症状>

血便、粘血便、下痢、腹痛が主な症状です。ひどくなると体重減少や貧血、発熱がみられます。治療によって改善しても、再び悪化しそれを繰り返す場合や、症状がだらだらとずっと続く場合があります。

 

潰瘍性大腸炎 <検査>

診断のためには大腸内視鏡検査をする必要があります。炎症の特徴は、大腸粘膜の全周にわたる炎症が直腸から連続してみられます。炎症が直腸だけに限られているタイプ、直腸から大腸の左半分まで広がっているタイプ、大腸全体に炎症のあるタイプに分けられます。
 血液検査では、炎症反応の程度をみたり、貧血や栄養不良が生じていないかなどを調べます。

 

 

ペプシノゲン検査

他の市区町村でABC検査を受診された方も、当院で苦痛の少ない内視鏡検査(精密検査・2次検査)も受けていただけます。

 

潰瘍性大腸炎 <治療>

多くの方は、適切な治療を受けることで通常の社会生活が可能です。重症度により治療法は異なってきます。軽症の場合は、サラゾピリンやペンタサという比較的副作用が少ない薬を投与します。炎症が直腸や大腸の左半部に限局している時には、ペンタサやステロイド薬の注腸製剤を肛門から腸の中に注入して使用する場合もあります。
 重症の場合は入院し、サラゾピリンやペンタサの内服に加えてステロイド薬を注射します。腸管を安静にするために絶食し、中心静脈栄養が必要になることもあります。白血球除去療法を行ったり、免疫抑制薬を使用したりすることもあります。
 これらの治療で改善せず激しい症状が続く時や、たびたび悪化して社会生活にさしつかえるよう支障をきたす場合には、大腸を摘出する手術が必要になります。また潰瘍性大腸炎を発症して10年以上たつと、大腸がんの発生する危険性が高くなりますので、定期的な大腸カメラの検査が必要です。